オリンピック選手の「(メダルを獲れなくて)日本の皆さんに申し訳ない」はやめて欲しい

 

竹田恒泰氏がTwitter
「日本は国費を使って選手を送り出してます。選手個人の思い出づくりのために選手を出しているわけではありません。“(オリンピックを)楽しめた”などの発言はあり得ない」

なんて発言をしております。
https://twitter.com/takenoma/status/432104627899621376

 

まあ、この人は「全体主義国家こそ理想」という主張の権化みたいな人なので、この発言については、「さもあらん」って感じなのだが、しかし……である。

 

彼のこうした発言によって、オリンピックに出場する日本代表選手が、

「今まで支えてきてくれた家族やスタッフ、そして日本で応援してくれている皆さんのために、メダルを持って帰ってあげたい」

とか、

「今まで協力してきてくれた周りの人や、応援してくれた日本の皆さん対して、こんな結果で申し訳なく思います」

とか、

ますますそんな発言ばかりするようにならなければよいが…と思う。

 

というのも、選手たちのこのテの発言に僕は辟易しているのだ。

 

「皆のためにメダルを」とか「(メダルが獲れなくて)皆さんに申し訳ない」とか、そんな発言を聞くたびに僕はこう感じる。

 

「えっ!アナタは、我々のために、その競技をやってるの?」と。

 

違うだろ。

 

幼少や若い頃、その競技に出会い、そこで才能や素質を開花し、さらに鍛錬して強くなり、勝つことの喜びを味わい、しかし、自分よりも強い者に出会い、それを倒すためにまた鍛錬し…

ということを続けてきた結果、世界トップクラスにまでのし上がってきた猛者たち、それが彼らトップレベルのアスリートである。

 

つまり、上昇志向や野心、勝利への執着、そういったものの塊、モンスターなのである。

逆に言えば、そんな、人一倍負けず嫌いで、勝つことへのあくなき追求心を持った者でなければ、世界トップクラスのレベルに到達するアスリートになどなれるわけがない。

 

要するに彼らは、ただひたすら、「強くなりたい」「上手くなりたい」「勝ちたい」、そして願わくば「一番になりたい」、そう思って競技に打ち込み、試合に臨んでいるのだ。

 

これこそが彼らのモチベーションなのであって、一流アスリートというものは、それで当然だし、そうあるべきだろう。

 

だから、彼らが勝ちたいのは、誰のためでもなく、自分自身の誇りや自尊心、達成感のためであり、そして負けた時は、自分以外の誰かに申し訳ないのではなく、自分自身に対して歯がゆく、情けなく思う。それが本音であるはずだ。

 

そんな彼らから、「皆さんのためにメダルを持って帰ってあげたい」「メダルを持って帰られなくて、皆さんに申しわわけない」などといったことを言われても、空々しいだけだ。

 

彼らにこういう発言させてしまっているのが、先の竹田氏のような考えであり、日本全体にはびこる「“私”よりも全員」「“私”よりも国家」を尊重することこそ美徳とする風潮だろう。

 

政治家や官僚に、そうした「私心を捨てて皆のために必死になれ」と求めるのは分かるが、アスリートたちにそんな意識を求めるのはやめてもらいたいものである。